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公認サークル「Ange Illustration Circle」のブログ

アンジュ・ヴィエルジュの大会レポートや今日のカード考察、サークルメンバーの描いたイラストなどを記事にしていきます。

【アンジュSS】「そよ風の軌跡」Chapter.1

Write:ノワール

登場人物
エトワール・グレイアーツ
OCeto

Chapter.1

「――私が青の世界に?」
唐突に告げられた任務。…いや、任務と呼ぶにはあまりにも軽すぎるそれに、エトワールは内心困惑していた。
「そうだ。貴殿は明朝マルキュウマルマルを以て青の世界、青蘭学園に赴いてもらうこととなった。」
蘭学園。青の世界、"地球"と呼ばれるその世界に存在する、異能に目覚めたプログレス、及びαドライバーが集まるという施設。知識としては勿論把握してはいたが、よもや自分がその地に赴くとは思いもしなかった。
「内容は青蘭学園の生徒に籍を置き、エクシードを向上させることだ。貴殿はお世辞にもエクシードを上手く使いこなせているようには思えん。」
目の前で自分に対する任務の内容を告げていく上官に、密かに多少の苛立ちを募らせながらも内容を否定できずにいるのがもどかしい。近年、エトワールは「風を操るエクシード」を持つプログレスとして能力を開花させた。しかし、未だにそれを制御できずにいるのが現状だ。青蘭学園を訪問するということはエクシードに関する専門的な知識を学べるというわけであり、上官の言っていることも最もだ。
「私のエクシードに不満があるというのですか?」
口に出してからハッとする。上官への口答えはあってはならないのが軍での暗黙のルールだ。しかし、上官はそれを意に介することもせず、話を続ける。
「そうだ。貴殿のエクシードはまだ実戦で使えるとは言えない段階だ。だからこそのこの任務というわけだ…把握したな?」
上官が念押しのように語尾を少し強め、同意を求めてくる。自分のエクシードが不完全なことは自分自身分かっていたことだが、こうもあっさり言い切られると少し悔しい思いがある。だがそれも事実なので、エトワールはそれを受け入れることにした。
「…了解しました。その任務、快く引き受けます。」

――――――――

「…エクシードの向上……。」
エトワールはエクシードについて考えていた。「風を操るエクシード」によって、彼女は演習ではほぼ負けなしの優秀な軍人になった。しかし、それは武器の制御機能によるものであることは彼女も重々承知していた。"虚偽の力"と周りから心無い言葉を受けたこともある。
「そろそろ、時期だったのかもしれない…かな。」
時期――エクシードを成長させる。それが自分にとって重要なことであることは認知しているし、いずれ必要だとも思っていた。それに、今よりもっと強くならなければ、自分の力を認めてもらうことが―――――
「ん…?エトか?」
自分の事を"エト"と呼ぶ人物。その人こそ、自分の力を認めてもらいたい人物、その人であった。
「――お兄さん!」

 →Chapter.2

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