AICブログ

公認サークル「Ange Illustration Circle」のブログ

アンジュ・ヴィエルジュの大会レポートや今日のカード考察、サークルメンバーの描いたイラストなどを記事にしていきます。

【アンジュSS】「Mission of dishes」後編

Write:ダッチ

登場人物
アミエラ・シュドレイラー
OCamiera

後編

「おぉー、ここがアミエラちゃんの部屋か~」
「物もあんまり無いし、つまらない部屋ね」
「あんまり見たら失礼ですよ、二人とも……」
「いいのよ、好きにくつろいでくれて。ただ、変な書類とかは読まないようにね。色々と 始 末 しなくちゃいけなくなるから」
「イ、イエッサー……」

少し脅しを入れて注意すると3人ともおとなしく正座していた。からかい甲斐のある子たちだ。
マユカは少し顔が青ざめているようにも見えるが、上官の自室というので緊張してるのだろうか?
もっとリラックスしてていいのに。

「はい、サラダやサンドウィッチとか簡単なものは作っておいたからあとはみんなの料理を出していきましょう」
「では準備も整ったことだ、早速始めようではないか!まずは私のから出そう」

ちなみにアーシアは他の3人より早く到着していた。やけに大きいクーラーボックスを抱えてだ。

「以前フェルノから教えてもらったのだが、それはもう甘くてとろけるようだと言っていた。今回はそれを持ってきたぞ」

ということはプリンやゼリーのようなデザートだろうか。
甘いものは心身の癒しになるし悪くない。もう一度言おう悪くない。
決して私が甘いものが大好きであるとか週に5回は甘味を買いに行くとかそんなことは関係ない。
期待を胸にクーラーボックスの中身を覗き込むと

『……………………』

アーシアのドヤ顔を除いて一同が唖然としていた。

「……アーシア、これは?」
「うむ、これは『鯉』だ!」
『(……甘くてとろけるような『恋』かぁ)』

鯉はアーシアが捌き、甘く煮ました。味は……美味しかったです、はい。


「つ、次は私のをどうぞ!」

卵焼きにから揚げ、漬物……このラインナップはいかにも……

「いかにもおにぎりのお供って感じじゃない。マユカらしいと言えばらしいわね」
「私はてっきりおにぎり以外作れないのかと思っていたから……意外と普通で驚いたわ」
「はい、実は前に沙織さんにおにぎりに合うものを教えてもらった時のレシピをマネしました」
「沙織ちゃんは料理上手だもんね」
「引用で申し訳ないんですが、沙織さんのレシピ本当に美味しいので、緑の世界でもきっと人気 が出ると思ったので……」
「確かに美味だな」
「うん、おいしいよ!」

気付けばアーシアと美海が料理を既に食べ始めていた。

「二人ともいつの間に……」
「でも、沙織ちゃんの料理とは何か違う気がするなぁ……」
「そうなの?」

ソフィーナとアミエラも箸を取り料理を口へ運んだ。

「普通に美味しいと思うけど?」
「私もおいしいと思うわ。普通に」
「うん、おいしいんだけど沙織ちゃんの料理はもっとこう……何かすごかった気がするんだよね……」
「あ、はい……それは材料が違うからだと思います」
「材料が?」
「えぇ。私が使ったのは普通にスーパーで売っている食材ですけど、沙織さんの場合卵は烏骨鶏の卵、鶏肉は比内地鶏だったりと高級食材を使っているようで、とても私では入手できませんでした……」
『(……さすが良家のお嬢様)』

流石に材料からの完全再現はコスト的に厳しかったが、普通の材料から作る分には味も申し分なかったのでマユカ(沙織の)レシピは採用となった。


「じゃあ、次は私の番ね!」

美海ちゃんの料理か……どちらかというと食べる専門のイメージがあるから少し不安な気もするけど……。

「少し前に『生キャラメル』とか『生カステラ』とか生系の甘いものが流行った時期があってね、それに似た発想で『生クレープ』っていうのを作ってみたよ」

「まずは小麦粉に卵と砂糖を混ぜて牛乳、バターを加えながらなめらかな生地の素を作ってそこに生クリーム、チョコレート、好きな果物を入れたりしてミキサーにかければ出来上がり!ね、簡単でしょ?」

(……あれ?焼かないの?)

「さぁ、グイッとどうぞ!」
「では頂くとしよう」

(え!?そのままいくの!?)

「うむ、ドロリとした舌触りにドロリとしたのどごし、しかし喉を通らずむしろまとわりついてくるこの感じ……息が……出来……ない…………」バタッ

『アーシアーーー!!』


―――嫌な、事件だったね。
何とかアーシアに水を流し込んで窒息は免れたが美海は(´・ω・`)としたまま正座していた。

「さて、気を取り直して残るはソフィーナさんだけね」
「ふっふーん。トリに私を持って来るとは分かってるじゃない。他のみんなとは一味違うわよ。なんたって私は天才魔女なんだからね!これが私の用意したものよ」

そう言って出てきたのは瓶に詰められた白い粉だった。

「これはどんな食材にかけてもその味を最大限に引き出すことの出来る魔法の調味料よ。これさえあれば料理には困らないわ」
「へぇ、流石黒の世界ね。こんなものまで魔法で作れるなんて。天才と自分で言うだけのことはあるわね」
(……まぁまだ試作段階でこれを機に実験を……なんて言えないわよね……)
「じゃあさっそく使ってみようか」

手近なものに振りかけて各々に取り分け―

『いただきまーす』

口に含む。刹那、世界が暗転し、意識が途切れた。


―――あれ?私、いつの間に眠って……確か美海がアーシアを窒息させかけて……そうだ、その後4人でいくつかレシピを考えて報告書をまとめて眠ったんだった。今日は休みで報告は明日だからもうひと眠りしようかしら……。スヤァ




――「はい。これでアミエラの持つ情報は全てかと。グリューネシルトの策略を知るには不十分でした。……はい、ではこれで失礼いたします。――魔女王」

END

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