【アンジュSS】「ある日の日常」第1話
Write:ダッチ
第1話
「あれ?おかしいな……」
「どうした竜人」
「あぁ達臣か。まぁ大したことじゃないんだけど、宿題忘れちまってさ」
「なんだ。別に珍しくもないな」
「……事実だから言い返せないけど何かむかつくな」
「だが竜人、流石に今回はまずいんじゃないのか?」
「は?なにがだよ」
「忘れたのか?この前の全校集会で問題を起こした生徒はエクスシアに殴られ……もとい調教されるって言っていただろう。お前、前回も宿題忘れて警告されていただろう」
「…………」
「忘れてたって顔だな。まぁ自業自得ってことで諦めるんだな。俺も手の掛かる友人が自立してくれるのは助かる」
「やべぇ、何とかしないと……そうだ!お~い、ソフィーナ!宿題見せてくれ」
「嫌よ」
「一蹴ですか……頼むよソフィえもん~友達じゃないかよ~」
「私には都合の良いだけの友達はいないのよ。達臣の言う通り自業自得よ。諦めなさい」
「うわ~ん!!ソフィーナちゃんどうしよう、宿題忘れちゃったよ~」
「仕方ないわね、美海は。ほら、これ写しておきなさい」
「ありがと~ソフィーナちゃん!!やっぱり持つべきものは友達だね!!」
「全く調子がいいんだから……///」
「あれ?今目の前でひどい差別が……」
「ソフィーナは美海に甘いですから」
「おう、セニアか。あっセニアは宿題やってあるか?」
「はい。宿題をやるのは学生の義務であると記憶しています」
「まぁそうなんだが……ほら、そこは友人同士の助け合いってことで……」
「そういえば最近『猫カフェ』というものがオープンしたらしいですね。非常に興味があるのですが、誰か連れていってくれる人はいないでしょうか(チラッ」
「……分かったよ。今度連れて行ってやるから宿題見せてくれ。あれに殴られるのは御免だ」
「交渉成立。どうぞ」
「よっしゃサンキュー!!これで何とか助かるぜ」
―――放課後
「世良竜人君いますかー?」
「ん?エクスシアか。どうしたんだ?」
「うん。君さ、今日の宿題誰か……白の世界の人に見せて貰ったでしょ」
「!?な、なぜそれが!?」
「だってこれ、どう考えても君が考えたようには見えないんだよね。先生曰く専門家レベルの途中式が使われてるってさ」
「お前、これを丸写ししたのか……。途中で気付けよ」
「ははは……」
「それじゃあ、反省してもらおうかな。大丈夫、痛くないからね~。後で魔法の呪文唱えてあげるから☆」
――以降、俺が宿題を忘れることは学園生活が終わるまで無かった。
→次回更新:12月8日(火)